活動報告

2017.11.22
【報告】「ジェンダーの観点からの論文業績分析報告」を開催しました。

11月9日(木)午後、伊都キャンパスセンター3号館で、「ジェンダーの観点からの論文業績分析報告」を第5回女性研究者エンカレッジメントセミナーとして開催しました。男女を問わず30名以上の方にご参加いただきました。


今回は講師として、情報分析企業であるエルゼビア社よりアカデミック・リレーションズ シニア・マネージャーのアラニャ・ルディービーヌ氏をお迎えし、「世界の研究環境におけるジェンダー 女性研究者の割合増加と男性研究者と同等の影響力について」の講演を行っていただきました。


講演では、論文データベースScopus(スコーパス)を用いて、20年以上にわたる12の地域、27の分野の研究業績と男女の割合を分析し、今年3月にエルゼビア社がまとめた ”Gender in the Global Research Landscape(世界の研究環境におけるジェンダー)” の結果を、世界と日本の違いにフォーカスを当ててご紹介下さいました。


日本における女性研究者の割合は20%と世界と比較して著しく低い割合であるが、平均的に女性の方が男性よりも多くの論文を発表しており、世界の傾向と逆転しているとの報告は、参加者に驚きをもって受け止められました。また、日本は国外に流出する女性研究者の割合が比較的高く、国内に流入する女性研究者の数が比較的少ない唯一の国であるなど、興味深い分析結果が紹介されました。続く質疑応答では、参加者から日本で女性の執筆論文数が多い理由が尋ねられ、専門家の意見として、研究の分野で生き残っている少数の女性研究者は非常に優秀であり、結果的に論文出版数が多くなっているのではないか、との紹介がありました。


次に、九州大学IR室の劉 沙紀 氏より、「九州大学の分析事例」と題し、九州大学の研究活動をジェンダーの観点から分析した事例の報告がありました。2017年現在の九州大学における女性研究者の割合は13.4%で、6年前に比べ増加しているが、日本全体の女性研究者の割合よりもやや低く、部局ごとに見ると、数学・工学分野が低く、歯学・医学などは高い、との分析結果が報告されました。また、1人あたりの論文数は2011-2015年は男女ともに日本全体の平均よりかなり多く、女性の方が論文数は少ないが、論文数の増加率が高いことも報告されました。


続いて、九州大学副理事・先導物質化学研究所教授の玉田 薫 氏より、「分析データを自分の研究にどう活かすか」というテーマで講演が行われました。講演では、データによる研究者業績の評価・管理が行われる時代に世界は突入しており、これにどう対処するかという問題提起がありました。さらに、女性研究者に対する無意識のバイアスを回避するためには、データで示すことが重要で、女性研究者側もそれを意識して自分の実力を正しく伝える手段を身につけるべき、とのアドバイスがなされました。


講演後の質疑応答では、活発な議論が行われ、参加者からは「勉強になった」「期待以上だった」という好意的な意見が多数寄せられました。


今後もエンカレッジメントセミナーをはじめ、多様な企画を引き続き開催して参ります。皆様の参加をお待ちしております。


男女共同参画推進室 春藤ゆう


当日のエルゼビア社の講演資料はこちらからご覧いただけます。


 

 

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