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2016.03.29 【開催報告】シンポジウム「多様性の推進と性差に着目した科学技術革新」

 平成28年3月18日(金)、医学部百年講堂にてシンポジウム「多様性の推進と性差に着目した科学技術革新」“Diversity Initiatives and Gendered Innovations” を開催しました。


 九州大学病院の本田浩副病院長による開会挨拶の後、第一部では「配偶者帯同雇用の現状と可能性」というテーマで、ゲストスピーカーとしてお招きしたスタンフォード大学歴史学部教授のロンダ・シービンガー様に基調講演をいただきました。アメリカの大学での帯同雇用の現状、男性研究者と女性研究者の配偶者の就業形態の違い、そして配偶者の雇用判断基準等についてご講演されました。


 パネル討論の導入として、日本大学上席研究員の大坪久子様に「キャリア形成に応じた帯同雇用制度」というタイトルで意見表明をいただき、Virtual University(仮想大学)に関する考えを紹介していただきました。また、九州大学の井上眞理副理事には「九州大学における配偶者帯同雇用現在の検討状況と提案について」ご紹介いただきました。続いて、朝日新聞編集員の高橋真理子様司会のもと、JST副理事の渡辺美代子様にも参加していただき、パネル討論を行いました。帯同雇用に関する一般的な意見から同じ研究室での雇用、企業を含めた地域連携型の雇用、過去の施行例といった具体的な質問まで活発な意見交換が行われました。


 第二部では、「ジェンダードイノベーションが拓く明るい未来」というテーマで、ロンダ・シービンガー様が男性中心で行われた研究開発の様々な例を紹介されました。続いて、高橋真理子様が「日本における”Gendered Innovations”への期待」というタイトルでご講演を行い、日本のイノベーション戦略における女性の活躍に言及されました。その後、渡辺美代子様が「ジェンダーに基づいたイノベーション」というタイトルで男性だけでは実現できなかった女性中心の研究について紹介し、最後に、九州大学歯学研究院の溝上顕子様と芸術工学研究院の小崎智照様によるご自身の研究紹介がありました。


 パネル討論は、三重大学名誉教授小川眞理子様司会のもと、ロンダ・シービンガー様、渡辺美代子様、高橋真理子様、溝上顕子様、小崎智照様にご参加いただきました。討論では、生物学的な性と社会的な性、ステレオタイプやバイアス、そして教育の重要性等、多岐にわたる内容でディスカッションが行われました。


 閉会の挨拶は、九州大学の青木玲子理事・副学長による「今後も進捗を共有する機会が得られることを願っている」との発言で締めくくられました。


 同時通訳もあったため、パネル討論ではフロアからの意見交換もあり、来場者のアンケートでは「研究者の単身は仕方ないと思っていたが、米国では帯同雇用のシステムが確立されていて驚いた」「刷新的な取組や興味深い研究発表があり、大変有意義だった」等の感想が寄せられ、学びの多いシンポジウムになりました。


 男女共同参画推進室では、今後もシンポジウムやセミナーを随時開催してまいります。
皆様の積極的なご参加をお待ちしています。


                                

   

(男女共同参画推進室 アンダソン真里奈)