お知らせ

2022.12.16
【報告】令和4年度ワーク・ライフ・バランスセミナー 「親の介護、僕らはどうする? ケア役割に向き合い、分かち合うためのオトコの作法」 を開催しました

 令和4年12月7日(水)、標記セミナーをオンラインで開催しました。今回は大阪公立大学大学院文学研究科の平山亮准教授に講師をお願いしました。当日はQ-wea(九州・沖縄女性研究者支援ネットワーク)参加機関の方を含め30名の参加がありました。


御講演の内容を一部紹介いたします。

 同居介護の現状では介護の担い手として息子の割合が増加し、息子の妻が義理の親の介護をすることは減ってきている。しかし、そもそも親の介護については “夫の親”の介護のみに注目されている。 “妻の親”の介護を義理の息子が担う割合はこの20年ほぼゼロに近い状況で変化しておらず、結局介護の分担者は圧倒的に女性が多いことに変わりはない。

 要介護高齢者の世話は、2つの労働から成り立っており、ひとつは日常生活動作に不自由がある高齢者を直接手伝う「介護」、もうひとつはそれがないと介護が続けられない「基礎」と呼ばれるもので、例えば食事の支度や洗濯など家事全般で生活していく上で必要な部分となる。夫が「介護」を行う一方、妻がこの「基礎」部分の多くを担っているにも関わらず、それは介護の担い手として表には出てこない。夫婦で双方の親を介護する場合、この「介護」と「基礎」の役割についてお互いが認識することが重要になる。


 親の介護ときょうだいの関係では、娘は「できなくなった」ことに、息子は「未だできること」に目がいくなど、親の老いに対する見方が違っている。親の老いを受け入れられないことで、親に過度のストレスを与えてしまい、結果的に虐待になってしまうことは特殊なことではない。このような状態に陥らないためにも、周りの声(自分以外の人の見方)に耳を傾けることが大切である。

 また、介護は娘にとっても息子にとっても初めてのことであり、家事が得意なことと、ケアに向いているかは別の話であり、男性だから介護が難しいという考えは当てはまらない。男性はケアができないと思われ、周囲から注意を向けられる一方、女性はケアができる性だという思い込みにより、助けを求めにくく孤立しやすい面もある。

私たちは介護に向き合うときに、制度に関する知識を得ることにプラスして自分たちの「あるある」を知る・振り返ることが必要なのではないか。


 以上のように親の介護に直面した場合の傾向について、国内外の研究をもとにお話しいただき、配偶者や兄弟姉妹など、自分以外の誰かと一緒に親の介護を行っていくうえで、気をつけておきたいことについてもアドバイスをいただきました。男性、女性どちらが介護はうまくいくかではなく、出来ることから介護に参加するということの重要性を認識する良いきっかけとなりました。


 男女共同参画推進室では、今後も各種セミナーや交流会などのイベントを企画・実施してまいります。多くの皆様のご参加をお待ちしております。


男女共同参画推進室 塚本、林




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