活動報告

2019.10.09
【報告】第11回九州・沖縄女性研究者支援シンポジウムin 福岡 開催

 令和元年9月20日(金)13:00~17:10、九州大学伊都キャンパス椎木講堂コンサートホールにて、上野千鶴子氏をお迎えし、「女性の活躍推進に向けて~支援から戦略へ~」をテーマにシンポジウムを開催しました。
 本シンポジウムは平成21年に宮崎での第1回開催を皮切りに九州・沖縄アイランド女性研究者支援ネットワーク(Q-wea)に参加する大学が持ち回りで開催しており、九州大学では平成25年の第5回に続き、2回目の開催となりました。また、昨年度組織された全国ダイバーシティネットワーク組織九州・沖縄ブロック会議の2019年度シンポジウムとして共催しました。
 開催にあたり、久保千春総長から昨年移転が完了した伊都キャンパスの紹介を含め、500人に及ぶ参加者への歓迎の辞と、本シンポジウムの経緯や今後へ向けての期待が述べられました。次に文部科学省 科学技術・学術政策局人材政策課人材政策推進室楠目 聖室長から来賓の御挨拶と「研究環境のダイバーシティ実現に向けて~科学技術・学術分野における女性の活躍促進~」と題して女性活躍推進に向けた現状や施策の紹介が有りました。本年度5件選定されたダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(先端型)に九州・沖縄地区の4大学が含まれていることも特筆すべき成果です。
 シンポジウム前半は上野千鶴子氏(東京大学名誉教授・認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長)の基調講演が行われました。本シンポジウムの参加者が500人に及んだ大きな理由は、上野氏の御登壇であり、その期待を裏切ることなく、本講演は椎木講堂に集まった多くの人々を、特に女性たち(九州・沖縄アイランド女性研究者支援ネットワークのメンバーはもとより、高校生、九州大学の学生や教職員、卒業生、その他の一般参加の方々)を勇気づけ、奮い立たせる熱く力強いメッセージとなりました。(詳細な報告はこちら【基調講演報告です。)
 休憩をはさみシンポジウム後半は「支援から戦略へ ~組織と個人に必要なこと」をテーマに九州・沖縄地区の11大学の男女共同参画担当理事・副学長によるパネルディスカッションで、コーディネータに伊東昌子氏(放送大学)、コメンテータに山村康子氏(科学技術振興機構)と上野千鶴子氏を迎えました。
 前半は「女性研究者の上位職への登用」について6大学によるディスカッションが行われ、まず九州大学から「女性研究者の上位職登用はなぜ必要か」という問いが提示され、女性教員は業績で劣るという無意識のバイアスがデータで払拭されたことや配偶者帯同雇用などの実施事例が紹介されました。また、大分大学、九州産業大学、長崎大学、宮崎大学、琉球大学から各大学の事例が紹介されました。ディスカッションでは、平成21年度と平成30年度の比較データにより、女性教員の上位職在籍率は思ったほど伸びていないことが示され、ポジティブアクションやトップダウンでの働きかけ、意識改革、チェックシートの活用等の必要性が議論されました。各大学の取り組みについて、コメンテータの山村氏からは、トップダウンで動かさないと動かないが、目標値の数合わせより上位職の育成に力を入れている点が良いとのコメントがありました。上野氏からは、トップの姿勢の重要性、それぞれの試みのインパクト評価の必要性が指摘されました。また、レイトスターターを対象に、年齢的な「若手」ではなく、学位取得後5年などのアカデミックエイジを導入すべきとの指摘がありました。
 後半は「女性研究者の次世代の育成」について5大学を中心にディスカッションが行われ、まず福岡女子大学から、女性研究者育成の取組みの例として、男女共同参画学協会連絡会と国立女性教育会館によって実施されてきた合宿形式の体験型サイエンスプログラム「女子中高生夏の学校」や「東北大学サイエンスエンジェル」が紹介されました。続いて、沖縄科学技術大学院大学、鹿児島大学、熊本大学、佐賀大学から、それぞれの大学における女子中高生向けのサイエンスプログラムの紹介や、研究者の環境整備が重要との指摘がありました。コメンテータからも、研究者の現状を正しく伝える必要があることが指摘されました。
 会場の参加者によるパネルディスカッション全般を通しての質疑応答では、市民や大学教員、大学生、高校生などから多数の質問があり、パネリスト、コメンテータを交えた活発な議論が交わされました。特に、団体で参加していた熊本信愛女学院高校の生徒からの熱意のある意見表明や上野氏への質問のやり取りは、会場の参加者を感動させる素晴らしいものでした。(詳細な報告はこちら【パネルディスカッション報告です。)
 パネルディスカッション終了後、引き続き今年5月の令和改元にちなんだ女性の活躍推進に向けた「令和宣言」が読み上げられ、満場の拍手で採択されました。REIWAの頭文字から
   Rebuild an Environment for Innovative Society by Woman’s Activity
として宣言文を作成したものです。(宣言文全体はこちら【令和宣言】をご覧ください)
最後に本学の内藤敏也理事による参加者、関係者へのお礼と閉会の挨拶をもってシンポジウムを終了しました。


 台風が接近する中、開催されたシンポジウムでしたが、大学関係者だけでなく、多くの市民の皆さまにも参加頂きました。今回のシンポジウムが大学だけでなく一般の社会における男女共同参画や女性の活躍について考えるきっかけなれば幸いです。また、準備や進行にあたり多大な御協力を頂きました関係者の皆様に心より御礼申し上げます。


(九州大学シンポジウム実行委員会)


     

総長挨拶



基調講演の上野千鶴子先生



会場全景


参加大学理事、副学長による

パネルデスカッション

 


 

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