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2020.12.10 【報告】令和2年度ダイバーシティ推進トップセミナーを開催しました

 令和2年12月4日(金)、ダイバーシティ推進トップセミナー「正しい評価を阻む無意識のバイアス—社会心理学の観点から」をオンラインで開催しました。本セミナーは文部科学省人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(特色型)」の一環として実施されたもので、第6回目となる今回は、東洋大学社会学部北村英哉教授に講師をお願いし、女性の上位職登用を阻む可能性のある無意識のバイアスについて社会心理学の観点からお話を伺いました。

 まず、ご講演に先立ち、石橋総長から開会の挨拶と講演への期待が述べられました。続いて、本学男女共同参画推進室の上瀧教授から、本学の女性活躍推進に向けた取組の概要と課題に関する説明がありました。本学では、いまだ女性教員の人数は十分といえず、特に女性上位職の登用が進んでいないことが指摘されました。そのうえで、このような女性の活躍を阻害する要因の一つとして挙げられる無意識のバイアスを学習し、これを克服する方法を模索していくことが今回のセミナーの趣旨であるとの説明がありました。

 続くご講演では、最初に北村教授から参加者に対して簡単な課題が与えられました。これは潜在連合テストと呼ばれるもので、我々の頭の中に存在する無意識的な連合関係を浮き彫りにするテストです。その結果、我々の脳内では類似した情報が無意識的に連結される「呼び水効果(プライミング効果)」という現象が生じていることや、これは自分で制御することが難しい自動的な反応であることを学びました。また、無意識のバイアスには「ステレオタイプ脅威」と呼ばれるものがあり、行為者が自己の能力や嗜好の対象に無意識的な制約を設けることで、自分の可能性を狭めてしまうケースが存在することが説明されました。さらに、性別にかかわらず個人の能力や特性を育てることや、科学的な実証データを活用しながら異なる学問分野の垣根を越えて協同することが重要であるとのお話がありました。

 最後に、男女共同参画推進室室長の内藤敏也理事から講師へのお礼が述べられ、今後の本学における男女共同参画の取組についての決意が述べられました。
当日は、学外関係者を含め134名の参加がありました。終了後のアンケートからは「日常の様々な場面で無意識のバイアスがあることに非常にショックを受けました。」「エビデンスベースドが重視されない日本の状況は私も問題だと思います。」「小学校の時点での算数の成績は男女で差がなくても、中学校あたりで差が出始める理由が興味深かったです。」などの感想が寄せられました。また、女性教員の上位職登用に向けた今後の取組について「女性の定数を決めること」や「上位職の意識改革」、「学問分野を越えた若手の育成」などが挙げられました。

 今回は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため初めてのオンラインでの開催となりましたが、伊都地区以外のキャンパスや学外からも多くの方に参加頂き、誠に有難うございました。


男女共同参画推進室   相良祥子