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QURIESプログラム

ご挨拶

QURIESプログラムは本学の女子高校生向けの理工系研究インターンシップです。QURIESプログラムという名称は、Q(Kyushu)University Research Internship in Engineering and Science(九州大学理工系研究インターンシップ)の頭文字ですが、伊藤早苗先生が幼い頃に感銘を受け、その後の飛躍のトリガーとなった女性科学者のパイオニア、マリ・キュリー(Curie)の名前とのダブルミーニングとなっています。

このインターンシップが企画されたのは、本学の名誉教授であった故伊藤早苗元理事のご遺族から、若い人たちが大学進学前に理系分野の研究の面白さ、楽しさを体験する場を創るサポートを したい、という申し出があった事をきっかけとしています。伊藤早苗先生は、小学生の頃に読んだキュリー夫人の伝記に大いに心動かされ、東京大学の物理学科に進学し、その後、プラズマ乱流物 理学の分野で世界的に活躍をされた方でした。また、伊藤早苗先生は学生や若手研究者の育成に尽力された教育者でもありました。

QURIESプログラムの第一回となった令和3年度はコロナ禍でオンライン開催でしたが、本年度は福岡市及び近郊の14校から計28人の高校生を伊都キャンパスに迎え、予定していた全てのイベント・研修を対面にて実施する事ができました。

参加者はまず8月6日のオリエンテーションにて一堂に会し、本学の若手女性研究者から大学での理系分野の研究についての体験談を聞くとともに、キャンパス内の幾つかの先端的な研究施 設の見学を行いました。続いて8月17日から5日間は28人の参加者が19研究室に分かれ、教員・大学院生の指導を受けながら、様々な分野の実験や分析に挑戦しました。研修の最終日の8月23 日に参加者は再び集まり、成果報告会において各人が行った研究内容を発表しました。実験や分析の原理の多くは高校では勉強していない高度な内容であったと思いますが、参加者がスライド を使って丁寧に説明している様子から、充実した研究体験ができたことが窺えました。

現在はインターネットで容易に様々な情報にアクセスする事ができます。しかし、見聞きする事と実際に体験する事の間には大きなギャップがあります。本プログラムの参加者の皆さんは、大学 の研究室で実際に機器を操作し、観察し、先生や大学院生と議論する事を通じて、以前よりもずっと、大学という場所のイメージが広がった事と思います。
伊藤先生が幼い頃に読んだ本から科学に対する強い憧れを育てたように、このインターンシップの体験が感受性豊かな女子高校生にとって、知的好奇心を高め、新しい世界にチャレンジするトリガーとなる事を切に祈念致します。

最後に、本プログラムを実施するに当たりご協力頂きました関係各位に心より御礼申し上げるとともに、引き続きご支援賜りますようお願い致します。

萩島 理

九州大学 副理事 ダイバーシティ担当 萩島 理
(本プログラム実施担当)


QURIESプログラムの概要と令和4年度実施状況

九州大学では、令和3年度に女子高校生を対象とした理系インターンシップ制度「QURIESプログラム(以下「本プログラム」という。)」を新設しました。本プログラムの名称は、Kyushu(Q) University Research Internship in Engineering and Scienceと、女性科学者のパイオニア、マリ・キュリー(Curie)博士の名前とを合わせたものです。 本プログラムを通じ、広く女子高校生の理系分野への興味・関心を喚起して裾野を拡大し、学術研究の将来を担う優秀な若手理系女性研究者・技術者を長期的に育成し、九州から世界へ羽ばたく女性を一人でも多く輩出する支援を行います。


目的と社会的意義
本プログラムは、大学進学前の意欲に溢れる女子高校生を対象とし、本学の先端的な研究環境の一端に触れる機会を提供するとともに、本学理系分野の教員をメンターとして、座学では得られない刺激的な研究活動の体験の場を提供することで、学術研究の将来を担う優秀な若手理系女性研究者・技術者が多く輩出されるよう、支援を行うことを目的としています。
寄附金での柔軟な運営による持続的な活動
世界的に著名な科学者で、かつ若手女性研究者の支援に尽力されてきた伊藤早苗元理事のご遺族からの寄附金で本プログラムを運営しています。寄附金による運営とすることで、高校生への支援や、女性の活躍促進・育成に特化した柔軟な支援に加え、通常の公的補助事業に比べた長期間の持続的な事業デザインが可能となりました。
研究室配属と受入れ側の研究テーマ
令和3年度は新型コロナウィルス感染症の急拡大により、急遽オンライン開催になったため、令和4年度が初めての対面開催となりました。本学で実施する研修への通学が可能な福岡県下の公立と私立の14高校に推薦を依頼して参加者の募集を行いました。本プログラムへ参加希望者は、受入れを申し出た理系学部等の 30 研究室(工学部関連 23、理学部関連 5、農学部関連 2)が提示した研究テーマリストから自分が取り組みたい研究分野・テーマを選択し、志望理由及び実施期間中の研究活動や指導を受けたい内容等を記載した申請書を提出。調整の結果、高校1年生から3年生までの応募者28名全員を、19研究室へ配属しました。
地域連携による裾野の拡大の必要性
令和4年度は令和3年度の試行プログラムの3校から14校に参加高校を増やしました。本プログラムの開始にあたり令和3年度に参加高校と企画内容や受入れについて相談し、実施期間や支援対象等について企画案を策定し、福岡県教育委員会など関連する機関と事前に連携しながらプログラムの作成を行いました。今後も、女子高校生のニーズ等の把握に努めるとともに、地域の関係機関と連携しながら本事業を進めてまいります。
初めての対面開催となった令和4年度の実施の様子
8月6日のオリエンテーション後、8月17日から各研究室に1週間配属されて研修を受け、最終日の23日午後から受講生による研究活動報告会を行いました。オリエンテーションでは、玉田薫 男女共同参画推進室副室長から挨拶の後、萩島理副理事から本プログラムの説明を受け、若手研究者2名による講演を行いました。その後、工学部にご協力いただき、受講生が3グループに分かれて研究室2つと電子顕微鏡実験棟を訪問。担当の研究者から直接説明を受け、質問をする時間を設けました。
研修実施期間は8月17日から23日の土日をのぞく5日間で、19研究室の教授以下研究者、学生、技術職員の方に指導や受入れにあたってお世話いただきました。受講生に与えられた課題に対し、1年生から3年生までのそれぞれのレベルに応じた指導をしていただきながら研究を進めることとなりました。研究室に自分の席をもらい、研究室のメンバーと一緒に学食を食べる受講生がおり、充実して楽しそうに過ごしている様子が伺い知れました。
最終日の報告会では、2つの会場に分かれてパワーポイントを使い、オンラインと対面のハイブリッドでの活動報告を行いました。各研究室から指導いただいた先生やTAが参加くださり、研究内容のコメントや今後の励ましなどをもらうことで、より意義のある報告会となりました。濃厚接触者となり対面参加がかなわないなど、新型コロナウィルス感染症の影響もありましたが、自宅からオンラインで指導や発表を行うなど工夫することで、受講生全員が本プログラムを終えることが出来ました。
受講生には最終日に本プログラムへの要望を含めたアンケート調査を実施しており、その結果を踏まえ、さらに本プログラムを発展させていく予定です。ご協力頂いた関係者の皆様にお礼申し上げます。



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*全国ダイバーシティネットワーク(OPENeD)でご紹介いただいたページはこちらからご覧いただけます。